園長のこぼれ話

三年目の成果

■放課後、これまでに描いた描画を全クラス拝見しました。最年少は今年で3年目。そろそろ描画指導の入り口をしっかり構築しないといけません。毎年試行錯誤では子ども達に申し訳ないです。それが、今回の実践で少し見えてきました。最初の数回はタンポと筆を使うと「絵」になることは他園の先生方の実践で分かっていました。あるクラスは「ぶどう」を描き、別のあるクラスはタンポポ(だったと記憶)でした。どちらもタンポと筆。ところがタンポポの作品の方が子ども達に集中力があると見取れました。違いは何でしょうか?「ぶどう」は紫の濃淡をつけて絵の具を準備しています。タンポポは鮮やかな色を鮮やかな補色の画用紙に描いています。担任達達から子ども達の様子を聞くしかないものの、子どもはタンポポの色合いに心を引かれたのではと作品群から感じました。タンポでの描画はこの後、母の日、父の日のプレゼントで経験しているので、最初の一枚のテーマを選ぶとしたら断然「花系」の華やかな色合いだろうと結論付けました。
■次は年少。
 最年少の経験、ポッケだけの経験、そして新入児と経験値の違う子ども達に対してどんなテーマが良いのか難しいです。昨年の今頃の研修で、ミニトマトはどうかと提案しました。最年少でも経験しているテーマでも経験者は新しい発想を見せてくれ、経験のない子には描きやすいのではと判断したからです。今回、それなりの実践にはなっていたのですが、他のクラスの1枚目のテーマは「木」でした。使う絵の具は緑、黄緑、茶の3色。一方ミニトマトは赤と緑。木のテーマの方が断然個性的な作品が多く、新入児達も集中しているのが分かりました。来年度の1枚目は木に決定です。ここでも満三歳児同様に「色」がキーポイントでしょう。
■続いて年中。
 昨年度のこの時期の作品はとても雑いのが多かったです。これは教師達の指導力も関係しています。指導力も、と描いたのは材料用具が適切だったかどうかも吟味する必要があるからです。全体的にこの時期にしたら仕上がりの良い作品が多かったので今後のテーマ設定が鍵になるでしょう。
■最後は年長。
 年長も昨年度の今頃の作品は絵の具の塗り、パスの線描とも雑かったです。しつこく丁寧に塗るよう促すのではなくても、塗れていない所があれば、「ここ塗れていないよ」と個人的に投げかけるのは重要です。気付かせてあげるのです。「これで良い」と言えばそれ以上言う必要はないですが、この一言で今の時期としてはかなり良い作品もありました。パスの線描、絵の具の塗りの悪い見本を教師が見せるのも効果的です。
 また、細かすぎる彩色はこの時期には不向きでしょう。個人持ち絵の具での描画はいろんな作業をしなくてはなりません。チューブから絵の具を出す。水を加えて薄める。ときには混色。筆洗。これらの作業をしながら細かい彩色を要求するようなテーマでは雑な塗り方になって当然です。「綺麗に塗りたい」「綺麗に塗れた」との思いを描画実践で培って欲しいのです。
 興味深い事例もありました。建物に重なるように木を描いている作品です。認知発達心理学では幼児には「重なり」という概念がないとされています。ところがここ数年で当園の作品にも、他園の作品にも、重なりを描く作品が見られるようになりました。今日の作品では担任は「建物の後ろにも木があるよ」と言ったそうです。重なりを描けている子は数名でも、これはかなりの大事件です。階段室にも一枚飾ってあります。重なりをご鑑賞ください。
■今夜は外部先生対象の講義っぽくなりました。

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